子宮内膜症は痛みと不妊とがんのリスクについて考える必要がある病気です。
卵巣にできる卵巣嚢腫(内膜症性嚢胞、チョコレート嚢腫)と子宮にできる子宮腺筋症(腺筋腫)が主な病態です。
骨盤内にできた子宮内膜症は卵巣や卵管のまわりの癒着の原因となり、卵巣にできた内膜症(チョコレート嚢腫)は嚢腫そのものが卵胞の発育に影響するとも考えられています。
手術による治療は卵巣機能(卵巣予備能、残された卵子の数)を低下させることもあり、手術の実施には高度な技術と専門性が求められます。
子宮内膜症、とくに卵巣にできた内膜症性嚢胞(チョコレート嚢腫)の治療方針は、みなさんの現在の状況により大きく変わるため、悩むところです。
また施設や医師によっても方針が異なることも多い部分があります。
卵巣嚢腫を摘出しない方が、卵巣予備能(卵の数)を維持することができますが、採卵時の穿刺により感染や下腹部痛が悪化する可能性もあります。
手術で内膜症性嚢胞(チョコレート嚢腫)を取り除くことで、卵胞発育によい影響があるかもしれません。
わたしたちは妊孕性(妊娠できる能力)をできるだけ維持するにはどのような方法が適切なのかを個別に検討します。
AMHの値、卵巣嚢腫の大きさ、卵管の通過性などを総合的に評価し、みなさまの状態に合わせた適切な治療方針をご提案いたします。
また、子宮内膜症は妊娠、出産後についても、閉経までの適切な治療が必要な病気です。